●研究活動
支部活動50周年記念誌の発刊に寄せて
雑 感
東葛飾南部支部
柏養護学校 永 野 正 雄
21世紀を目前に控えた今、千葉県公立高等学校事務職員会が創立50周年を迎えたことは誠に意
義深く、これはひとえに事務職員皆様方のご努力の賜物とお喜び申し上げます。
事務職員会創立後の私たち千葉県の50年間を振り返ってみますと、敗戦による荒廃した県都の戦
災復興土地区画整理事業を皮切りに、その後の東京湾の埋立て、新東京国際空港、幕張メツセ、東京
デズニーランド、上総アカデミアパーク、そして東京湾アクワラインの建設等歴史に残る壮大なプロ
ジェクトが続き、かつては純農村県であったころの名残を残さないほどに発展してきました。
この間、県人口は約100万強から約600万弱へと大きく伸長し、産業もそれまでの農業・漁業
中心の第一次産業県から臨海部の重化学工業、内陸部の軽工業、商業、農業・漁業と産業のバランス
の取れた県に変化してきました。
しかしながら、現在の学校事務職員を取り巻く教育環境は経済不況と相まってここ数年一段と厳し
く、特に税収不足からくる財政状況の悪化は、学校予算の削減という事態を招いています。
太平洋戦争以来右肩上がりで成長を続けていた日本経済は、バブル崩壊後大きく減速し、製造業は
もとより銀行、証券会社など金融機関についても相次いで破たんしています。
政府は、財政構造改革を一時棚上げして金融システムの安定化を行い、公共事業を中心とした景気
対策を積極的に実施しているところですが、株価と設備投資の上昇はみられても、GDPの約6割を
占める個人消費の伸びは依然として低迷し、失業率は最悪を記録しています。
企業は、かつてのアメリカと同様生残りをかけて必死にダウンサイズイングを続けており、その結
果深刻な雇用不安を引き起こし、消費の低迷に拍車をかけるという悪循環を繰り返しています。
このような社会の中にあっては、学校事務職員についても自己の持つ今までの倫理観、価値観とい
ったものを見つめ直す必要があろうかと思います。
そのためには教職員という囲いの中にとじ籠っているばかりではなく、外に押し出して自分を見つめ
直すことが必要です。輪の中にとじ籠っていると一般社会と物事に対する認識のずれが生じます。
公務員として求められる行動のなかには、ときには法律・道徳といった規範では判断できないもの
があります。
また、事務職員もマーケティングの思想を持つ必要があります。
工事や物品の発注に当たっては、とかく前年度と同一の業者や出入り業者が多くなりがちですが、
必ずしも有利とは限りません。
市場や流通経路等を調査し、適正価格の把握に努めることは当然のことです。
さらに、差別や人権侵害についての倫理・価値観の変化についても十分注意する必要があります。ア
メリカ杜会では、女性差別、人種差別、年齢差別、人権侵害で訴訟となる例が多く、日本でも大きな
問題となりました。
下手な文章を長々と書きましたが、私は平成9年度から3年間県立柏養護学校に在籍させていただ
きました。3月31日に最後の日の勤務を終え、学校を去る瞬間、不覚にも目頭を熱くしてしまいま
した。
厳正な校長、聡明な教頭、優しく気のいい教員、親切でお人好しの行政職員、そして誰よりもすば
らしい学校事務職員の皆様方、在職中のご厚情本当に有難うございました。
千葉県公立高等学校事務職員会が今後ますます発展されますことを祈念いたします。